福祉社会学研究
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Print ISSN : 1349-3337
┃自由論文┃
精神障がい者支援を地域に開く
多摩ニュータウンにおける事例から
松岡 由佳
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2020 年 17 巻 p. 135-157

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抄録

現在,地域での精神障がい者の社会的包摂が課題となっている.本稿では,多摩ニュータウンにおける精神障がい者の就労支援に注目し,地域の特徴が就労支援の展開とどのように関連しているのか,就労の場は,その利用者にとってどのような意味を持つのかを考察した.精神障がい者支援に取り組む団体の活動の参与観察,利用者へのアンケート調査,利用者やスタッフなどへのインタビュー調査を通じて,以下のことが明らかとなった.

2000 年頃から始まった就労の場づくりは,ニュータウンの特徴を活かしながら展開していた.就労の場が広がることで,活動の選択肢が増え,利用者はニュータウンのさまざまな場所で活動するようになった.一例として取り上げた団地商店街の就労支援事業所は,近隣の住民同士が交流する場となっているだけでなく,住民と利用者の間の交流ももたらしていた.さらに,販売活動やサークル活動を通じて,利用者はニュータウンの街中で活動する機会を得ていた.

 このような活動の拠点は,一般就労に向けた訓練の場であり,また障がいに対する理解が得られ,仲間と交流できる居場所となっている.それは,利用者にとって,能力主義的な価値観に適応するとともに,そうした価値観から逃れられる場所でもある.こうした居場所は,利用者の社会的な承認の可能性や,利用者とスタッフ,ニュータウンの住民との間のつながりを生んでおり,利用者と地域とを結ぶ役割を担っている.

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