2009 年 6 巻 p. 122-132
街にはメタボ対策に翻弄されながら毎日を過ごす労働者の姿が後を絶
たない.会社から支給された万歩計をベルトに装着し,脂肪燃焼系のお茶
を鞄に忍ばせ,エスカレーターを使わずに階段を歩き,至福の一時は健康
志向の低カロリービール.自分の健康管理を自己責任として徹底され,少
しでも生活習慣病の可能性があれば,ライフスタイルの見直しを迫られる
ことがもはや当たり前となった.これも構造改革の1つの成果と考えるべ
きなのだろうか.今思えば,現代的な健康づくりが推進される今日におい
て健康」をどのように考えればよいのかという,素朴な疑問を持ちは
じめたところから本パネルディスカッションの企画がはじまっていたのか
もしれない.このセッションでの議論が「健康」について再考する契機と
なり,健康づくりを通じて政治化される身体と,その身体を通じて再編さ
れつつある統治システムについての批判的まなざしとなれば幸いである.