山階鳥類学雑誌
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短報
耕作水田と非耕作水田における狩場としてのサシバによる利用の違い
門脇 正史村山 卓小島 幸彦
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2007 年 39 巻 1 号 p. 19-26

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抄録
1997年の4月から6月まで茨城県の里地里山で繁殖する1つがいのサシバを対象として3タイプの狩場における狩猟行動を調査した。耕作水田における観察時間あたりの止り時間の割合,止り回数,狩りの回数の値は,混合水田(耕作地と非耕作地からなる水田)およびその他の地域(草地,芝畑,公園)よりも有意に大きかった。サシバの食性も調査した。カエルが最も多く(40.9%, N=18),次いでヘビ(15.9%, N=7),トカゲ(11.4%, N=5)の順であった。その他にザリガニ(9.1%, N=4),バッタ(6.8%, N=3),ドジョウ(4.5%, N=2)が捕食されていた。これらの餌動物は水田またはその周囲に生息する。このように,里地里山においては耕作水田の存在がサシバの保全に重要だと思われる。
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© 2007 公益財団法人 山階鳥類研究所
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