山階鳥類研究所研究報告
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照葉樹林におけるシジュウカラ雛の餌消費に関する研究
I 摂食量と代謝維持量
江口 和洋
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1980 年 12 巻 2 号 p. 68-78

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抄録

1.1975年から1979年にかけて佐賀県神埼郡東背振村権現山および福岡市東区立花山一帯の照葉樹林において,シジュウカラ雛の餌消費に関して研究をおこない,摂食量,排泄量,成長量,代謝維持量を測定した。
2.摂食量はふ化後2日目に0.5g.dr.10日目に最大値1.3g.dr.に達した。10日目以後の平均摂食量は5.56g.fr.または体重の38%であった。雛1個体は巣立ちまでの15日間に65.65g.fr.の餌を消費する。摂食量と1巣雛数との間に相関はみられなかった。排泄量は4日目2.0g.dr.,8日目5.6g.dr.,14日目8.2g.drで,摂取乾燥物量あたりの同化率は26~57%の間を変動した。成長量は5日目に最大値0.34g.dr/日に達した。最大代謝維持量は0.5g.dr.であった。
3.摂食量は4日目3.7Kcal,8日目6.0Kcal,14日目7.0Kcalで,排泄量はそれぞれ0.7,1.7,2.8Kcalであった。摂取エネルギー量に対する同化率は52~72%の間を変動した。最大代謝維持量は4.4Kcalであった。
4.今回得られた摂食量,排泄量および代謝維持量の値のいづれも,Royama(1966)がカラマツ林で得た値より大きかった。照葉樹林における高温がこれらの違いに関係しているものと思われる。

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