山階鳥類学雑誌
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日本の低山に生息するミゾゴイ Gorsachius goisagi,オオタカ Accipiter gentilis,サシバ Butastur indicus の個体数推移の推定
川上 和人樋口 広芳
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2003 年 35 巻 1 号 p. 19-29

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抄録

動物園の飼育個体数の記録を用いて,ミゾゴイ,オオタカ,サシバの1960年代以後の個体数推移の推定を行った。これらの種は,動物園で積極的に収集している種ではなく,また飼育下での繁殖もほとんどされていない。そこで,飼育個体数は保護個体数を,保護個体数は野生個体数を反映していると仮定した。また,これらのデータを補強するため,新潟,栃木,伊良湖岬,宮古諸島での個体数推移の記録を収集し検討した。その結果,ミゾゴイとサシバは1960年代以後,全国的に減少していることが示唆された。これに対しオオタカは全国的に増加傾向が見られた。ただし,飼育個体数で評価したため,過大評価の可能性があり,今後野生個体群に関して詳細に検討していく必要がある。ミゾゴイとサシバの減少は,生息地や食物資源,越冬地の森林の減少等が原因と考えられる。この2種はこれまで保全上あまり注目されてこなかったが,レッドデータブックでの地位を上げ,保全に積極的に取り組んでいく必要がある。

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