抄録
抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品の開発は年々加速しており,それに伴いタンパク質の翻訳後修飾をどのように制御していくかが一つの課題となっている.特に糖鎖修飾はその薬効や安全性に影響するため,医薬品として適した糖鎖構造の解明が急がれている.そのためには均一な糖鎖構造を有するタンパク質の生産技術と評価技術が必要となる.しかし細胞を用いて均一な糖タンパク質評品を生産することは現段階では困難であるため,糖鎖加水分解酵素の糖転移反応を用いて生産することが検討されている.われわれが単離した酵母由来の糖鎖加水分解酵素は,二分岐複合型糖鎖を切断する活性を有しており,糖鎖の改変(リモデリング)に有効であると考えられた.