2017 年 56 巻 1 号 p. 26-32
脂溶性ビタミンの一つであるビタミンKは一般に,γ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)の補酵素として働き,血液凝固や骨形成に関与していることが知られている.近年ビタミンK同族体の一つであるメナキノン-4(MK-4)が,ほかのビタミンK同族体から変換されて各組織に蓄積していることが明らかにされた.そこで,ビタミンKにはいまだ解明されていない重要な生理的役割を果たしていると考えられるようになった.特に最近のビタミンK研究から,核内受容体のアゴニストとしての作用や脳神経の酸化ストレスからの保護作用などさまざまな作用が発見された.本稿ではMK-4が脳神経前駆細胞からニューロンへの分化を誘導する作用についても解説する.