化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
解説
明らかになり始めた生理活性脂質N-アシルエタノールアミンの生合成機構
N-アシル転移酵素の構造と機能
宇山 徹上田 夏生
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 58 巻 11 号 p. 599-605

詳細
抄録

N-アシルエタノールアミンは長鎖脂肪酸がエタノールアミンに結合した一群の脂質分子で,動植物組織で生理活性物質として機能する(1)(図1).結合している脂肪酸種の種類によって異なる受容体に作用し,抗炎症・食欲抑制・神経保護等の幅広い生物活性を発揮する.N-アシルエタノールアミンは必要に応じて局所的に合成され,生理機能を示した後は速やかに分解される.このように,N-アシルエタノールアミンは生理機能を保有するのに加えて,その生体内含量がダイナミックに増減することから,生合成や分解にかかわる酵素が注目されている(2).本稿では,全貌が明らかになりつつあるN-アシルエタノールアミンの生合成機構,特にN-アシル転移酵素に焦点を当て,われわれの知見を中心に概説したい.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top