2020 年 58 巻 11 号 p. 606-613
19世紀半ばに顕微鏡により発見された細胞小器官である核や染色体は,19世紀終わりのメンデルの法則の再発見により,遺伝学と結びつき細胞遺伝学が生まれた.その後,細胞遺伝学は,分子生物学や顕微鏡技術の発展とともに,より高い感度および解像度を得て,より広い観察空間,時間軸に沿った解析が可能となってきた.近年では,次世代シーケンサー(NGS)の発展により,DNAの核内配置やエピジェネティック情報などの時空的な変化をNGSベースの手法により解析可能となってきたが,細胞遺伝学的手法は,今なお色褪せることなく,これらの現象を視覚的に捉えるための重要な技術となっている.本稿では最新の細胞遺伝学技術と,その利用法として,動原体改変による半数体作製技術を紹介する.