化学と生物
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解説
抗生物質ストレプトスリシンおよびその類縁化合物の組合せ生合成で新規化合物を創る
未利用抗生物質の生合成酵素は未利用にあらず!
丸山 千登勢
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2020 年 58 巻 4 号 p. 217-222

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抄録

抗生物質の登場は,不治の病と呼ばれた病気の数を減らし,人類の平均寿命を飛躍的に延ばしてきた.最近では,さまざまな疾病に有効な薬剤や,健康維持のための多様な薬剤も望まれている.しかしながら,これまでに微生物から発見された生理活性物質は数万種類に及ぶにもかかわらず,それらのなかで実際に医薬品や農薬として実利用に至っているものはほんの僅かであり,それ以外の多くは,有用な生理活性をもっていながら,さまざまな理由から未利用なままになっている.そのような未利用資源を現在の科学技術で有用な資源へと導くことができれば,創薬スピードを加速させることが可能であると考え,未利用資源の一つである抗生物質streptothricin(ST)とその類縁化合物(図1)をモデル化合物として,その実用化を目標とした研究を行ってきた.

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© 2020 公益社団法人日本農芸化学会
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