2015 年 71 巻 2 号 p. I_271-I_276
本研究では既往の津波実験での越流時間に加えて実現象の時間スケールを考慮した越流を再現し,構造物へ作用する流体力が長時間継続する越流から受ける影響を明らかにし,2線堤模型の位置・形状による背後の構造物に作用する流体力の時間特性について検討した.その結果,(1)2線堤は越流時間を遅らせる効果がある.(2)越流の形態により構造物に作用する圧力は作用時間に差が見られるが,時間経過と共に差は小さくなる.(3)2線堤によるエネルギー減衰は陸側法面に形成される乱れの影響であり,堤高さが増加すると乱れは増大するが,越流高さが増加するため盛土の形状による構造物前面の比エネルギーは同程度で設置距離の影響も小さい.(4)跳水の影響を透過性の仮想構造物として数値モデルに考慮することで水位や流速を再現できることなどが分かった.