抄録
遡上域から砕波帯内外にかけての底質移動,および鉛直混合動態を明らかにすることを目的とし,茨城県波崎海岸において波浪計測,地形測量,および蛍光砂の投入を実施し,高波浪来襲後にコア採取を行った.コアはX線CTスキャン実施後に細分割し,蛍光砂採取,粒度分析を行った.その結果,地形測量により高波浪に伴うバーの沖側への移動が確認されたが,バー周辺の蛍光砂の陸側への移動は見られず流速データ等より底質は沿岸方向,および沖側に移動したと推測された.また,汀線付近に投入した蛍光砂はトラフ部分まで移動していたがバーまでは到達しておらず,底質は汀線付近からバーまでの領域とバーから沖側の領域において混合していないことが示唆された.加えて,高波浪時の底質移動にはトラフ部分の沿岸漂砂の影響が大きいことが推察された.