2017 年 73 巻 2 号 p. I_505-I_510
名古屋港の主航路周辺では,入出港する船舶によって発生する航跡波が停泊する船舶へ不測の動揺をもたらす場合があり,過去に小型船舶転覆事故が発生していることから、航跡波の影響に関する安全対策の検討が進められている.本研究では,現地波浪観測及び数値シミュレーションによる航跡波の解析及び自然条件の影響把握に関する調査を実施し,結果をもとに今後の安全対策に役立つと考えられる知見を整理した.これらの結果,航跡波高と船速の関係性は船種・入出港の条件で異なることが明らかとなり、これらの船舶条件別の航跡波高の推定式を得た.また,伝搬する航跡波は,潮位・地形の影響を受けて波高が顕著に増幅する場所が異なることや,一定方向の流れ(木曽川)の影響により入出港で航跡波高に違いが生じていることを確認した.