2017 年 73 巻 2 号 p. I_649-I_654
海岸堤防と背後盛土が一体となった粘り強い構造について,構造を決定するために実施した水理模型実験の再現計算と,南海トラフ巨大地震により想定される最大クラスのレベル2津波を外力とした現地スケールの数値計算を行い,数値解析による粘り強さの定量的な評価への適用性を検討した.水理模型実験の再現計算では,背後盛土の侵食過程が精度よく再現され,盛土の侵食量を閾値とした定量的な評価が可能であることが示された.また,現地スケールの計算では,レベル2津波の襲来後においても背後盛土の天端高が海岸堤防以上に残存し,背後盛土による粘り強さが確認された.一方,水理模型実験で見られた盛土より陸側の土砂堆積の再現性,各パラメータ設定における不確実性や現地スケールへの適用性の検証の課題が明らかとなった.