土木学会論文集B2(海岸工学)
Online ISSN : 1883-8944
Print ISSN : 1884-2399
ISSN-L : 1883-8944
論文
東日本大震災での想定浸水域外におけるハザードマップおよびリスク認知と避難実態
芹川 智紀Anawat SUPPASRI門廻 充侍今村 文彦
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 75 巻 2 号 p. I_1363-I_1368

詳細
抄録

 今後の巨大津波災害において人的被害を軽減するためには,過去の巨大津波災害におけるハザードマップの活用評価が不可欠である.特に,想定を上回る災害に対する有効性と限界性の検討が必要である.本研究では,東日本大震災時の宮城県のハザードマップの整備および利用状況を整理し,想定浸水域外におけるハザードマップの認知と避難行動を検討した.津波への時間的意識変化を用いて避難状況を整理した結果,ハザードマップの認知は避難行動と有意な関連はなく,津波リスク認知と関連することが定量的に示された.また,気仙沼では「災害イメージの固定化」が発生し,石巻では津波への意識と避難行動が結びつかないという課題が明らかになった.本分析より,外力条件の不確かさを考慮したマルチシナリオ型ハザードマップが有効であると考えられた.

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top