2019 年 75 巻 2 号 p. I_337-I_342
2018年9月28日にインドネシア・スラウェシ島で発生した地震に伴う津波は,地震断層から推定されるよりも早い時間に津波が到達している.この津波は,発生直後の状況が撮影されたビデオ映像がSNS上に多数投稿されており,海底地すべり津波の発生状況を解明するためには希少なデータであると思われた.そこで,これらの映像から津波の発生場所と水位,伝播速度などの推定を行った.結果として,短時間で複数の津波が発生していること,その津波が発生した場所と津波の水位が20mを超えていたと推定できることを明らかにした.また,津波伝播解析を実施することにより,海底地すべりに伴う津波の波源が,津波の伝播速度よりも遅い速度で海底方向に移動したことにより,映像に記録された波源域が形成された可能性があることを推定することができた.