汀線変動は岸沖と沿岸方向の漂砂により生じ,後者が長期的な汀線の動向を支配すると理解されている.本研究では,一つの漂砂系とみなせる鹿島灘南部(鹿島港~利根川,延長約16km)において,衛星画像より汀線データセット(データ長:約10年,データの時間間隔:約85日,空間間隔:10m)を作成し,沿岸漂砂量の時空間分布を推定した.EOF(経験的固有関数)解析により,汀線変動を岸沖と沿岸方向の土砂移動に因ると考えられる成分に分離し,後者に対して土砂の連続性に基づき沿岸漂砂量の時空間分布を推定した.推定結果の妥当性は波浪再解析結果から求めた沿岸方向エネルギーフラックスより検討した.