日本海洋学会誌
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風波スペクトルの発達過程の特徴
今里 哲久
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1976 年 32 巻 1 号 p. 21-32

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抄録

風洞水槽実験とびわ湖での観測結果をもとにして, 風波の発達過程を検討し, 風波のパワースペクトルS (f) とスロープスペクトル∅ (f) の特徴について述べる. 風波の発達過程は, “initial-wavelets (初期波)”, “transition stage”, “sea-waves (風浪)” の3段階に分けられる. 水槽実験では, initial-waveletsからtransition stageへの移行は, スペクトルピークが6.40×10-4k2cm2・sec (k;波数) の線に達するか, または∅maxが6.40×10-4secより大きくなった時に生ずる. 風浪域ではスペクトルピークの成分波が最も急峻であり, ピークは1.02×102f-6cm2・secに沿って発達し, 33.3f-4cm2・secに達した後は, この線に沿って発達する. このf-4の線は∅ (f) が一定値となることを意味している. 風波の非線形性が風波の発達と共に強くなることを示唆すると共に, 風から波への運動量フラックスは全応力の4~9%であることを示す.

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