本論文では,超音波を利用したスチレン乳化重合プロセスの連続操作に関して,間接照射システムの構造を検討した.まず,超音波場を有効利用しうる流通式反応器構造の検討を行った.その結果,反応器設計に関して,振動子に面する反応器底面の形状,窒素ガスの供給方法と反応器内部の液面高さを考慮に入れることが必要であるという知見が得られた.そして,間接照射に有効な反応器モデルの一つとして,垂直型円筒反応器の適用が提案された.
次に,同反応器モデルを適用した連続重合システムの動的挙動の解析を行った.滞留時間を適切に設定することで,回分操作に比べて多分散度が小さい高分子を安定的に得られることがわかった.さらに,還流システムを導入し,プロセスのシステム構造を変化させることで,超音波のプロセス強化的効果を高められることが明らかになった.