化学工学論文集
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熱工学
エマルジョン燃料液滴における内部挙動可視化および界面活性剤が2次微粒化に及ぼす影響
鈴木 芳行原田 拓自庄子 正和渡部 弘達松下 洋介青木 秀之三浦 隆利
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2010 年 36 巻 6 号 p. 557-565

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抄録

現在,窒素酸化物やすすといった環境汚染物質の同時排出削減法として,エマルジョン燃料の研究が行われている.加熱過程におけるエマルジョン燃料液滴では,蒸気吹き出し(puffing)およびミクロ爆発といった2次微粒化現象が発生することが知られているが,2次微粒化挙動の詳細が解明されているとは言い難い.本研究では,界面活性剤のHydrophile-Lipophile Balance(HLB)値がエマルジョン燃料の乳化特性および2次微粒化特性に及ぼす影響を検討した.加熱過程における分散滴の挙動を観察するために,水相のみに着色したエマルジョン燃料を用いて観察を行う内部挙動の可視化方法を提案した.この可視化方法を用いて,着色した水およびHLB値の異なる界面活性剤を用いて調製したエマルジョン燃料液滴を熱電対に懸垂し,集光加熱を行い,2次微粒化挙動を高速度カメラにより観察した.その結果,Oil-in-Water(O/W)型エマルジョン燃料においては,水中油滴が凝集し,O/W型からWater-in-Oil(W/O)型への転相が生じた後に,分散した油中水滴が再凝集し,ミクロ爆発が発生することが示された.W/O型エマルジョン燃料においては,HLB値の増加に伴い,ミクロ爆発発生確率が減少するが,O/W型エマルジョン燃料においては,HLB値にかかわらず,ミクロ爆発発生確率に大きな差異はないことが示唆された.

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© 2010 公益社団法人 化学工学会
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