移動壁を有する矩形流路内の希薄気体の流れの問題について, 還移流域での流れを対象として, 線形化Boltzmann方程式を用いて数値的に解き, 任意Kn数域での流れ場と流量係数を明らかにした.合わせて, 自由分子域の流れに対する漸近解およびすべり流域におけるStokes方程式の解析解を提出し, Kn>10およびKn<0.1域での流れ場についても明らかにした.流量係数は, Couette流においてもPoiseuille流においても, アスペクト比が大なるほど大きい値をとる.Couette流の流量係数はKn数に大きく依存しないが, アスペクト比の小なる流路ではKn数とともに増加し, アスペクト比の大なる流路ではわずかに減少する傾向を示す.Poiseuine流の流量係数は高Kn数域では減少し, 還移域でKnudsen極小値をもつ.本結果は, 気体潤滑系, 掃引型真空ポンプなどの設計に対して有効である.