化学工学論文集
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新規界面活性剤を用いた乳化型液膜による銅とモリブデンの選択的分離
後藤 雅宏栫 隆彦後藤 宗治成迫 誠中塩 文行
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1992 年 18 巻 6 号 p. 928-934

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抄録

キャリヤーとして2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル (PC-88A) を用い, 新規界面活性剤によって調製した乳化型液膜により, 銅とモリブデンの選択的分離を行った.内水相や外水相の条件に加えて液膜相中の界面活性剤やキャリヤー濃度の分離に及ぼす影響について検討した.上記分離系においては, 逆抽出試薬の選定が重要な因子となる.内水相に逆抽出剤としてマンニトールの水溶液を用いると, 効率よく銅とモリブデンの分離が行えることを明かにした.
界面活性剤もまたモリブデンの抽出速度や内水相への濃縮に非常に大きな影響を及ぼした.中でも新規のカチオン性界面活性剤がモリブデンの分離濃縮に最も良好な結果を与えた.乳化型液膜によるモリブデンの抽出挙動はエマルションの膜破壊を考慮したキャリヤーとモリブデンカチオン種との界面反応によって説明できる.モリブデンの高濃縮のためには安定なエマルションを用いることが非常に重要となる.

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