1993 年 19 巻 6 号 p. 1015-1022
ドロマイトの完全焼成酸化物 [CaO・MgO] のSO2吸収反応特性について, 973~1473Kの焼成および硫酸化反応温度条件下で熱重量分析による検討を行った.また, カルサイトおよびマグネサイトを焼成して得られるCaO, MgOのSO2吸収反応活性と比較した.CaOおよびMgOの反応活性を基にして, CaOおよびMgO成分の複塩構造がドロマイトのSO2吸収反応に及ぼす影響について検討した.その結果, 本実験条件では焼成ドロマイトは, 焼成温度が上昇するにつれて硫酸化反応活性は低下し, 硫酸化反応温度条件は約1373Kで反応活性が極大となった.反応平衡論からMgOおよびCaOがSO2と反応可能な温度でのドロマイトのSO2吸収反応実験では両成分とも反応したが, CaOとMgOの反応活性の相違から, 化学反応律速段階にある反応初期にはCaO成分が選択的にSO2を吸収することが示唆された.また, CaOのみ反応可能な温度域では, 粒子内の未反応MgOの存在によりSO2の粒子内拡散抵抗が大幅に抑制されCaO成分の反応率は, 迅速に1に到達した.