1998 年 24 巻 3 号 p. 425-430
蒸留塔の製品組成制御を実現する方法として, プロセス変数から計算される組成推定値を制御に用いる方法が考えられる.本研究では多成分蒸留塔を対象とし, 塔内温度測定値に基づく組成推定モデルを Partial Least Squares regressionを利用して構築した.定常データおよび時系列データを用いて構築した組成推定モデルを比較した結果, 時系列デ-タを用いることによって推定精度を大幅に改善できることを示した.また, プロセスの動特性をモデルに組み込む方法として, 過去のデータの利用が有効であることを示した.さらに, 構築した組成推定モデルの組成制御への適用について検討し, 温度制御と組成制御を組み合わせたカスケード制御構造が優れていることをシミュレーションにより確認した.