抄録
天然の酵素分子が,化学反応において遷移状態の基質分子と結合することによって触媒機能を発揮しているように,化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は,遷移状態の基質分子と結合することにより安定化し,触媒機能を獲得するようになる。このような触媒機能を有する抗体タンパク質を抗体酵素(Catalytic Antibody)とよぶ。ヒトやマウスの体内には10^<12>種類の膨大な抗体のレパートリーが備わっているため,この方法を使うことによりテーラーメイドな触媒分子の設計が可能となる。ここでは,抗体酵素の作製原理,作製方法,実際の応用例について解説する。