造礁サンゴには褐虫藻と呼ばれる数十マイクロメートルの単細胞の藻類が共生しており,この褐虫藻の光合成で作られた光合成産物をエネルギー源としてサンゴの軟組織下部にある骨格との隙間(石灰化部位)にカルシウムイオンを送り込む。一方でミトコンドリアでの有機物分解で生じた二酸化炭素は炭酸水素イオンや炭酸イオンとなって,石灰化部位に運ばれ炭酸カルシウムが生成する。サンゴの白化現象は,強い光で破壊された褐虫藻の光合成系が高水温により修復されなくなり,サンゴと褐虫藻とのこのような物質のやり取りを通した共生関係が崩れることによって生じる。最近では海洋酸性化がサンゴ礁への新たな脅威となり,サンゴ礁は衰退の一途をたどっている。