本稿では,「化学のための英語(English for Chemistry:以下EC)」を「化学科の学生が化学的内容を発受信できる手段となる英語」と定義し,筆者が化学科3年生以上を対象とした授業で行っているECの授業(以下「筆者の授業」)について,開講の理由,実施上の留意点,指導内容,評価方法などの概略を紹介する。
科学部活動ではテーマ設定は教員側から与えることはなく生徒が自ら立案してきたものをディスカッションしながら設定し課題研究に取り組むという,双方向なアクティブ・ラーニングの手法を一貫して行った。その結果,英語の学術論文が受理・掲載されたり,2年連続でISEFに出場かつ入賞するなどの効果があった。課題設定に対し,指導者が戦略を立てて行動すれば,生徒は期待以上の成果を残してくれることを実感できた。英語で発表する大会に挑戦した歩みについて,主に私の前職である高校勤務時に行った4つの指導事例を紹介する。
本校のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業*1での科学英語に関する指導の実践を紹介する。また,英語で研究発表をすることが主流になりつつあるSSH事業を取り巻く現状を紹介しつつ,英語での研究発表に至るまでの本校のプログラムも紹介する。
グローバル化する世界で活躍するためには,まずはその世界に参加する必要がある。一般的な「言語」としての外国語の習得に限らず,生徒が活躍を望む特定の分野で用いられる「言語」の習得はその世界への参加の鍵である。科学内容の英語ディベート学習はそのためにどんな役割を果たせるか,いかに指導するかについて述べる。
昨今の発酵ブームの中,当社では清酒メーカーとして長年にわたり培ってきた醸造技術を基に,清酒から機能性素材を単離し,また酒粕などの醸造副産物を有効利用した商品開発を実施している。他方,酵素を大量に分泌生産する能力を有する醸造微生物である麹菌を使用したタンパク質生産システムを開発し,タンパク質の受託発現サービスを始めるなど新たなバイオ事業にも挑戦している。本講座では,機能性素材の開発とバイオ事業にスポットを当て酒蔵の取り組みを紹介する。
造礁サンゴには褐虫藻と呼ばれる数十マイクロメートルの単細胞の藻類が共生しており,この褐虫藻の光合成で作られた光合成産物をエネルギー源としてサンゴの軟組織下部にある骨格との隙間(石灰化部位)にカルシウムイオンを送り込む。一方でミトコンドリアでの有機物分解で生じた二酸化炭素は炭酸水素イオンや炭酸イオンとなって,石灰化部位に運ばれ炭酸カルシウムが生成する。サンゴの白化現象は,強い光で破壊された褐虫藻の光合成系が高水温により修復されなくなり,サンゴと褐虫藻とのこのような物質のやり取りを通した共生関係が崩れることによって生じる。最近では海洋酸性化がサンゴ礁への新たな脅威となり,サンゴ礁は衰退の一途をたどっている。
私たちは食事をして,健康を維持しているが,料理をする道具として一番身近に[包丁]がある。包丁の切れ刃の部分は金属部分であるが,この刀身部がどのような材質からできているのか,またこの材質が近年どのように変遷し進化してきたかを述べたい。包丁などの刃物の作製技術は,単なる金属加工と思われる節もあるが,その技術の真髄は,金属冶金工学や材料科学など複数の学問が融合した技術に裏付けされていることがわかる。