2017 年 65 巻 7 号 p. 326-329
筑波大学理工学群化学類で実施される入学試験のうち推薦入試とAO入試を取り上げ,試験の内容・特徴と実施結果,それにより生じた課題を論じる。推薦入試では思考力や発想力に富んだ真面目な学生を,AO入試ではより自主性に富んだ学生が入学する傾向にある。これらの試験によって,通常のペーパーテストでは獲得しにくい層が取り込まれて,本学における多様な人材育成に貢献している。受験者の減少などの問題を抱える一方で,成績調査の結果では化学類においては入学経路に依存した大きな差異は見られないことから,さらなる人材の多様化を目指すためには今後これらの制度を活用した入試形態が望まれる。