化学と教育
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講座:世の中を変えた反応・材料・理論
A. Wernerの発想と執念
—いかにして斬新な配位説を証明しようとしたか—
長澤 五十六
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2019 年 67 巻 12 号 p. 604-607

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抄録

構造化学の発展はKekuleの原子価説(1858年)が出発点と考えられる。原子価説は炭素化合物の構造化学に非常に強力なツールを与えたが,種々の金属を含む,無機化合物の構造を解釈するには充分ではなかった。無機化合物の構造化学を発展させたのは,19世紀後半から20世紀の初頭にかけて,Blomstrand-Jörgensenの鎖状構造説とA. Wernerの配位説との間で繰り広げられた論争である。鎖状構造説がKekuleの原子価説の影響を強く受けていたのに対して,配位説は,現在,我々が知る「配位数」という概念を与えた独創的なものであった。これは,後に大きな発展を遂げる学問領域,「配位化学」の基礎となるものである。Wernerはその独創的な配位説の正しさを証明するために,数々の重要な実験結果を生み出していった。彼はこの功績により1913年にノーベル化学賞を受賞した。

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