2019 年 67 巻 12 号 p. 608-611
今や数えきれないほどの化学物質が存在するが,その中でも金属錯体はノーベル賞と関わりの深い物質群のひとつである。金属錯体が関係した研究によって,2016年,ジャン=ピエール・ソバージュ(Jean-Pierre Sauvage,フランス),ジェームス・フレーザー・ストッダート(Sir James Fraser Stoddart,アメリカ),ベルナルド・L・フェリンハ(Bernard L. Feringa,オランダ)の3氏が「分子機械の設計と合成」の功績でノーベル化学賞を受賞したことは記憶に新しいところである。「機械」を手元にある辞書で調べると「物体の組み合わせによってできており,動いていろいろな仕事をする仕掛け」とある。この中の「物体」を「分子」に置き換えたものこそが分子機械である。