ヘルスケアや在宅医療の分野でウエアラブルセンサー(身に着けて測るセンサー)やポイントオブケア(POC)診断(その場診断)の需要が高まりつつある。その中で,酵素の持つ極めて高い選択性や低濃度での反応性を利用し,環境中や生体試料中に含まれる多成分の試料から特定成分を高精度に定量する方法として酵素センサーの研究はさらなる広がりを見せる可能性がある。しかし,酵素はタンパク質であるため外的な環境に影響されやすく,センサーの製造過程での失活,長期保存を視野に入れた時の安定性や連続的にモニタリングする場合の耐久性などの課題がある。ここでは,規則性無機多孔体を利用して,酵素センサーの安定性に重点をおいた研究と展望について解説する。