物質の磁性の起源は電子の回転運動から生じる磁気モーメントである。回転運動には原子軌道上の運動とスピンがあり,それぞれに対応した角運動量で特徴付けられる。また,原子軌道上の電子は4つの量子数で特徴付けられ,多電子原子では,電子はパウリの排他律を守って低エネルギーの軌道から順に占有する。典型元素はイオンや物質中では磁気モーメントを持たないが,遷移元素はd軌道やf軌道の不対電子に由来する磁気モーメントを維持し,磁性元素と呼ばれる。物質中で磁気モーメントは交換相互作用などの磁気的相互作用のために,互いに平行や反平行にそろう。その結果,物質全体では強磁性などの磁気秩序状態が実現し,また臨界温度で常磁性へと転移する。磁気秩序や磁気相転移は多体問題であるが,分子場近似を用いて解くことができる。