日本東洋医学雑誌
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臨床報告
強い冷えを伴った慢性腰痛に対して血府逐瘀湯加減と烏頭赤石脂丸料の併用が奏効した1例
韓 哲舜平崎 能郎岡本 英輝植田 圭吾八木 明男島田 博文王子 剛永嶺 宏一並木 隆雄
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2015 年 66 巻 2 号 p. 112-118

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抄録

71歳女性。腰部脊柱管狭窄症の診断の下,長引く腰痛に対して神経・椎間板ブロックや投薬治療が行われていたが改善しないため,漢方治療目的に当科を受診した。身体所見では腰痛の他に頑固な便秘とこむら返り,間欠的な胸痛ならびに全身の強い冷えを認めた。また漢方的所見として強い瘀血と血虚を認めた。当帰四逆加呉茱萸生美湯エキスや通導散エキスにて加療するも改善が得られず入院加療となった。慢性的な瘀血と血虚に対して血府逐瘀湯加減,また間欠的な胸痛に対して烏頭赤石脂丸料をほぼ同時期に開始した所,冷えと腰痛の改善が得られた。本症例は慢性的な冷えと瘀血,血虚を改善する事で血行が促進されたため,冷えと腰痛の改善が得られた可能性が示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学会
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