2019 年 70 巻 2 号 p. 162-166
近年,漢方はがん医療において重要な役割を果たしている。免疫チェックポイント阻害剤ががん免疫療法の主流となった新たな時代における漢方の抗癌作用の可能性につき自験例を踏まえ考察した。免疫力強化と漢方に関しては,従来からの癌免疫の増強,特に自然免疫を主眼とする機序に関しては多く報告されてきている。一方,新しい免疫抑制の解除機構(免疫の逃避機構の阻害)における漢方の新たな可能性については,我々の十全大補湯が膵癌患者の調節性T 細胞比率を低下させる報告や免疫チェックポイントタンパクCTLA-4とも密接に関係する分子の発現を回復させるといった報告の如く,漢方が免疫抑制を解除する報告が散見され始めた。漢方の中にはいわゆる免疫チェックポイントを発動し,心臓移植片の免疫寛容誘導や,腸管炎症を抑制するとの報告があり,今後の新たな展望として,漢方を免疫チェックポイントの面から考えることが重要である。