日本東洋医学雑誌
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原著
無痛分娩のための硬膜外麻酔後および帝王切開時脊髄くも膜下麻酔後の硬膜穿刺後頭痛に対する呉茱萸湯と苓桂朮甘湯との2剤併用療法の有効性
佐野 陽子白崎 由佳荻野 守弥
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2020 年 71 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

無痛分娩時の硬膜外麻酔後の硬膜穿刺後頭痛と帝王切開時の脊髄くも膜下麻酔後にPost-Dural Puncture Headache(PDPH)を発症した患者に対する漢方治療の効果について検討した。呉茱萸湯と苓桂朮甘湯を同時に投与した39例と,呉茱萸湯1剤を投与した17例において,漢方薬服用前後のNumerical Rating Scale(NRS)の改善率とNRS 差で比較した。改善率,NRS 差を用いて判定した有効割合はそれぞれ2剤併用療法で82.1%と74.4%,呉茱萸湯単独療法で58.8%と41.2%であり,改善率による評価では有意差はないものの(p = 0.094),NRS 差による評価では有意に効果があった(p = 0.032)。服用開始時期の差による有意な差はなかった。PDPH の治療方法として,呉茱萸湯と苓桂朮甘湯の2剤を服用することが効果的な治療であることが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学会
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