糖尿病足病変の主な成因の神経障害,血流障害,感染の3つの要因に対して早期からの対策が必要とされる。この3大要因から糖尿病患者の足病変に対して,糖尿病外来患者13例,入院患者4例に漢方薬治療を実践したところ50~100%に有効性が認められた。A群(明らかに神経障害の存在が考えられる群)に対しては証に応じた漢方薬治療が50%以上に有効であった。B群(明らかに血流障害の存在が考えられる群)については循環を改善する漢方薬,とくに当帰四逆加呉茱萸生姜湯は,足関節血圧比(ankle-brachial pressure index : ABI)を改善した。また,C群(明らかに感染を合併するが内科で対応可能な群)については,西洋医学的な抗菌薬と併用で,漢方薬(補剤)が全身状態を改善した。
日本東洋医学会では各種委員会を設置し,日本の漢方医学の普及や学会員の活動サポートのため日々活動している。そのひとつである国際委員会委員の立場,また大学附属病院で漢方の研究や臨床を行っている立場として,筆者らは日本漢方の国際認識度,国際発信力を向上させるべく2019年5月にオーストラリアにて開催された,第14回International Congress on Complementary Medicine Research に参加し,消化器疾患に対する日本漢方のシンポジウムを成功させた。日本漢方に対する世界各国の関心があることが実感された一方で,韓国,中国といった伝統医学を推進する隣国らに比べ,我が国の漢方研究者における国際学会での情報発信力に不十分さを感じた。