日本東洋医学雑誌
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烏頭桂枝湯が奏効した反射性交感神経性ジストロフィーの1例
貝沼 茂三郎仙田 晶子萬谷 直樹嶋田 豊寺澤 捷年
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2002 年 53 巻 6 号 p. 651-655

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抄録

反射性交感神経性ジストロフィー (RSD) の慢性疼痛に, 烏頭桂枝湯が奏効した1例を経験した。患者は69歳男性で, 1995年にRSDと診断され, 四肢および体幹の頑固な疼痛は, 脊髄電気刺激法, 神経ブロックや種々の薬剤に抵抗して持続した。2000年6月当科に入院し, RSDのステージIIと診断された。サーモグラフィーでは, 左側背部と左側手部~手指の温度が右側と比較して低下しているのが確認され, 3相性骨シンチグラフィーの血管相でも左側足部の血流の低下がみとめられた。従来からの西洋薬に加えて烏頭桂枝湯を開始したところ, 16週後には疼痛は半減しフェイススケールも20から11点に減少した。さらに, サーモグラフィーや3相性骨シンチグラフィーの血管相でみられた左側の血流低下も, 右側と同程度にまで回復した。烏頭桂枝湯は, RSDの頑固な疼痛に有効であるだけでなく, ジストロフィーの進行防止にも有効である可能性が示唆された。RSD患者における烏頭桂枝湯の有効性については, さらなる検討が求められる。

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