日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
慢性頭痛に対する九味檳榔湯エキス製剤 (コタロー) の効果
木村 裕明堀口 勇大竹 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 53 巻 6 号 p. 657-662

詳細
抄録

他の漢方製剤で無効ないし有効性の低かった慢性頭痛患者20例に対して, 九味檳榔湯エキス製剤 (コタロー) を使用し, その効果について検討した。観察項目として, 虚実の判定, 気滞の有無, 水毒の有無のほか本剤の特徴的所見とされる腓腹筋握痛の有無を投与開始時に観察した。また九味檳榔湯投与後の有効度は, ペインスコアにて投与2週間後に評価した。
結果は, 著効5例, 有効11例, 無効4例で, 著効・有効をあわせて8割となった。副作用は認められなかった。著効および有効と判定された16例の特徴を評価項目別に検討すると, 水毒の症状がみられたものが16例中13例, 気滞の症状がみられたものが16例中14例と多かった。九味檳榔湯の投与目標の―つとされる腓腹筋の圧痛 (握痛) は1例のみであった。
以上より, 慢性頭痛に対して, 特に水毒に気滞を伴う例に対して, 利水と理気の作用を合わせ持つ九味檳榔湯は有効な薬剤であると思われた。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top