感染症学雑誌
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Miloxacinの腸管感染症に対する臨床的検討
中野 昌人神崎 玲子早川 正勝安達 正則河合 美枝子今高 國夫滝塚 久志岡山 謙一勝 正孝野瀬 信子能登谷 隆竹田 直彦
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1981 年 55 巻 11 号 p. 819-825

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抄録

合成抗菌剤Miloxacinはグラム陰性桿菌に対し, 幅広く, かつ強い抗菌活性を有している.さきに我々は, 各種感染症に対する本剤の臨床効果を検討し, その成績を報告した.
今回さらに, 腸管感染症に限定し, その臨床効果, とくに排便回数正常化, 便性回復に要する日数に主眼をおき有用性を検討した.
腸管感染症25例に投与し, 著効8例, 有効13例, 無効4例であつた.また, 排便回数正常化に対する効果は72%が3日以内に, 84%が6日以内に正常化した.便性回復については77%が3日以内に, 91%が6日以内に回復した.細菌学的には.E.coli6株中5株のほか, Citrobacter3株, Klebsiella1株, Proteus1株, Vibrio Parahaemolyticus2株, Campylobacter1株におのおの菌の消失をみた.
副作用として1例に軽度のめまいの発現をみたが, Miloxacin投与によると思われる臨床検査値の異常は認められなかつた.

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