感染症学雑誌
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結核菌とポリオウイルス2型の混合感染
徳田 正夫田中 陸男大北 和彦
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1981 年 55 巻 11 号 p. 826-832

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抄録

昭和55年11月21日に発熱を伴つて発病した5歳女性の患者は初診時に無菌性髄膜炎と診断されたが, その後嘔吐, 頭痛, 咽頭発赤, 項部強直, ケルニッヒ徴候, 昏迷, 昏睡さらに左上下肢の軽い不全麻痺や身体諸所の疼痛などの臨床症状を示した.
髄液には細胞 (リンパ球) 増多, 蛋白量の増加, 糖量の低下が認められた.髄液から結核菌が分離培養された.
ポリオ2型ウイルスとの補体結合反応, 中和反応の両者によりポリオ2型ウイルスに対する抗体が病日の経過と共に血清中に出現し, その抗体価の上昇が認められた.
以上の事実により, 本症例は結核菌とポリオ2型ウイルスの混合感染による結核性髄膜炎と急性灰白髄炎の合併症であることが証明された.
結核菌の感染源は肺結核の父方の叔母であるが, ポリオ2型ウイルスの感染源は不明である.

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