1985 年 59 巻 2 号 p. 94-102
薬剤感受性検査は現在多くの検査室でディスク法を用いている.しかし, ディスク法について最近基礎的検討の報告が少ないので, ここにあらためて, 日本化学療法学会による最小発育阻止濃度測定法を標準法として比較検討を行った.今回は一濃度ディスク (昭和薬品) について報告する.
対象蘭種は当検査室において.各種臨床材料より分離されたEscherichia coli (26株), Klebsiella pneumoniae (26株), Enterobacter cloacae (24株), Serratia spp. (27株), Proteus mirabilis (25株), Pseudomonas aeruginosa (26株) である.標準株としてE.coli ATCC25922を用いた.使用薬剤は ampicillin (ABPC), piperacillin (PIPC), carbenicillin (CBPC), cephalothin (CET), cefsulodin (CFS), cefmetazol (CMZ), cefotaxime (CTX), latamoxef (LMOX), kanamycin (KM), gentamicin (GM), amikacin (AMK), chloramphenicol (CP), tetracycline (TC), minocycline (MINO), colistin (CL), polymyxin B (PL), nalidixic acid (NA) の17薬剤である.
一濃度ディスクと標準法 (寒天平板希釈法) との一致率は90%であり, 一部相関の悪い (80%未満) 薬剤と菌種の組み合せを除外すると95%と良好であった.薬剤別の一致率ではCP (76%), 菌種別ではSerratia spp. (77%) を除いて, おおむね良い相関を示した.ただし, 一致率が80%未満であった菌種と薬剤の組み合せは次のようであった.すなわち, E.coliとNA (72%), E.cloacaeとCP (48%), Serratiaspp.とKM (75%), GM (50%), AMK (78%), CP (74%), P.mirabilis とCET (38%), CP (78%), P.aeruginosa とPIPC (55%), CFS (68%) である.