感染症学雑誌
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CounterimmunoelectrophoresisによるB群溶連菌の型別
沈降反応法およびスライド凝集反応法との比較
小林 貞男松岡 祐子郡 美夫村井 貞子
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1985 年 59 巻 9 号 p. 852-859

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抄録

Counterimmunoelectrophoresis法 (CIE法) を用いてB群溶連菌の型別を行うため, まず, 使用抗原の抽出法について検討を行った.温和な生理食塩水抽出法では, 抗原の抽出が不十分であり, 交差反応も多く, また, 反応性も弱かった.通常用いられている100℃塩酸酸性加熱抽出では, 電気泳動における移動度が変化することがあり, 時には同型の抗血清との反応が認められないこともあった.50℃塩酸酸性加熱抽出および高圧加熱抽出した抗原は, 交差反応もなく, また, 反応性も強く, CIE法に用いる抗原として適しているが, 操作の容易さの点から, 高圧加熱抽出法が奨められる.
患者分離菌株の高圧加熱抽出抗原を用いてCIE法により型別を行い, 沈降反応法およびスライド凝集反応法による型別の結果と比較を行った.多糖類抗原に基く抗原型は3者で完全に一致しているが, c蛋白質抗原型については, 沈降反応法とCIE法では16株中1株を除いて一致しているのに反し, 両法でともにc蛋白質抗原が認められた9株は, スライド凝集反応法では新たに追加された種々の易熱性蛋白質抗原型を示した.
B群溶連菌感染未熟児患者より採取した血清および尿について, CIE法により型抗原の検出を行ったが, III型菌が分離された患者の2回にわたる採取尿 (25倍濃縮) からは, いずれもIII型抗原が検出された.しかし, Ic型菌が分離された患者の血清中からは抗原を検出することはできなかった.

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