感染症学雑誌
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全国的にみた溶血レンサ球菌の疫学的研究
7府県の小・中学生の咽頭分離の溶血レンサ球菌を対象にして-第2編A群溶血レンサ球菌のT型別の比較
中島 邦夫奥山 道子奥田 清
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1985 年 59 巻 9 号 p. 905-913

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抄録

1983年4月終りから同年6月初めに至る約1ヵ月半の間に, 北海道と沖縄を除く東北から九州に至る7地方, 即ち北から南へ, 秋田, 新潟, 埼玉, 大阪, 島根, 佐賀の小学生 (1~6年生) と高知の中学生 (1年生) を対象に咽頭よりA群溶血レンサ球菌の検出を実施し, 分離したA群菌について家兎免疫抗血清による凝集反応によってT型別を実施した.その結果, 全国各地からT-1, T-3, T-4, T-6, T-8, T-11, T-12, T-13, T-18, T-22, T-23, T-28, T-B3264, T-5/27/44の14種のT型を分離し得た.このうち, 各地から満遍無く分離したのは検出数の多い方から言うとT-13, T-12, T-4の3型のみであった.しかし, 各地区に於ける最多分離型, 所謂主要流行菌型は, 秋田と新潟ではT-13型, 埼玉はT-28型, 大阪はT-12型, 島根はT-8型, 佐賀はT-11型とT-12型, 高知はT-28型, T-1型とT-13型となっていた.即ち, 全国的にみて各地の主要流行菌型は決して同一ではなく, 地域特異性のあることが判明した.

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© 日本感染症学会
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