感染症学雑誌
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富山県における臨床材料由来溶血レンサ球菌について
児玉 博英徳満 尚子刑部 陽宅柏木 義勝
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1985 年 59 巻 9 号 p. 935-942

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抄録

1980年1月から5年間, 富山県において臨床材料から分離された溶血連鎖球菌の一部について, 患者の年齢別・材料別の菌群・菌型分布, 年次別の菌型分布の変遷と, 菌群・菌型と薬剤感受性の関係を調べ, 次のような成績を得た.
1.患者の年齢別・材料別の分離株の群別分布には極めて特徴があり, 小児の上気道・化膿巣由来では殆どがA群, 成人・老人の尿・膣分泌物等では殆どがB群, 新生児材料もまた大部分がB群であった.
2.A群菌の菌型分布は, 材料別にはあまり特徴はなかったが, 年次別には特徴があり, 12型菌が調査期間中一定して優勢であったほかは, 6型→1型→13型→4型と変遷し, 1980年に比較的多く分離された6型菌が, 1981年以後は殆ど分離されなくなった.一方, B群菌の菌型分布は, 材料別にも年次別にも特徴はなく, Ia型とIII型が常に優勢であった.
3.分離株は総てペニシリン, セファロリジン, セファレキシンに対して感受性であったが, これら薬剤のMICはB群菌に対してはAおよびG群菌よりもやや高く, また同一菌株に対してセファレキシンのMICは他の2剤に比べるとかなり高かった.エリス群マイシン耐性菌は大部分A群12型であったが, A群の他の菌型や, BおよびG群の中にも, 高度耐性株が少数認められた.B群菌に関しては, 菌型と薬剤感受性パターンの間に明瞭な特徴は認められなかった.

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