1986 年 60 巻 10 号 p. 1133-1139
メチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) の菌力について, マウスを用いてメチシリン感受性S.aureus (MSSA) の場合と比較検討した.
MRSAとMSSAの諸性状について検討を行ったが薬物感受性の相違との相関性は認められなかったが, MRSAの増殖度はMSSAより低いことが分った.
マウスに対する菌力について検討したところ, MRSAおよびMSSAいずれも全般的に菌力は弱いものであった.このためシクロフォスファミド処理マウスを用いて腹腔内感染系で検討したところ, MRSAの菌力は明らかにMSSAよりも弱いことが認められた.
以上の結果よりMRSAのマウスに対する菌力はMSSAよりも弱く, この要因の一つとしてMRSAの増殖度の低さが考えられた.