感染症学雑誌
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EIA法 (Chlamydiazyme) による女性性器におけるChlamydia trachomatis感染の診断的意義
椎名 義雄飯島 淳子沢田 好明岩倉 理雄宮沢 博武田 敏
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1988 年 62 巻 11 号 p. 1002-1009

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抄録

EIA法であるChalmydiazymeを用い, 1,888例の産婦人科外来患者について子宮頚部のChlamydia trachomatis (C. trachomatis) 感染症の診断を試みた.また, Chlamydiazyme陽性の30例とMicroTrak陽性の30例について, ELISAと間接蛍光抗体法 (IFA) を用い血清IgG・IgA量を測定した.更に, Chlamydiazyme陽性で血清抗体価の低かった8例は培養を実施した.
1) Chlamydiazymeの陽性率は分娩希望妊婦9.5%, 特殊浴場接客婦24.2%, 学生23.1%で, 以前行なったMicroTrakに比べ著しく高値を示した.
2) Micro Trak陽性例のELISAは全例 (16例) が陽性であったのに対し, Chlamydiazyme陽性例は73.3%であった.
3) IFA (IgA) で10倍以上の明らかな高値を示したのはMicro Trak陽性例が66.7%であったのに対し, Chlamydiazyme陽性例は53.3%であった.
4) Chlamydiazyme陽性で, ELISA陰性の8例は全例培養陰性, IFA (IgG) 価は全例80倍以下, IFA (IgA) は全例5倍以下であった.
以上の結果より, 子宮頚管C. trachomatis感染症のChlamydiazymeによる診断は感度に優れた点でscreeningには適した方法と思われるが, 最終診断はMicroTrak等の直接塗抹蛍光抗体法が望ましい結果を得た.今後, さらに直接塗抹蛍光抗体法の感度を上げる努力が必要であるように思われた.

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