感染症学雑誌
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旅行者下痢症-特にロタウイルスについて
福井 康朗鈴木 正徳柳井 慶明江田 淳二寺沢 徳昭仲田 幸文磯村 思无
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1989 年 63 巻 12 号 p. 1296-1300

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抄録

海外旅行者が, 旅行中に感染するロタウイルスについて, その実態を知るため, 東南アジア各国を出発し名古屋空港に到着する乗客の糞便からウイルスの検出を試みた.
1. 1985-1988年の間に, 消化器症状を訴えた334名を検査し, 10名からロタウイルスを検出した.
2. ロタウイルス陽性者の年齢層は, 10歳代から楊0歳代まで広い範囲にわたり, 特に40歳代と50歳代に集中した.
3. 推定感染国別では, 特定の地域に集中することは無く台湾, タイそれぞれ3名, 香港2名, フィリピン, ネパールそれぞれ1名であった.
4. ロタウイルス陽性者の臨床症状は, 消化器症状のうち下痢を訴えた者が, 100%であった.
5. 季節的変動は認められず, 乾季と雨季がはっきりしている熱帯地域に限れば, フィリピンが乾季1例, タイが乾季2例, 雨季1例であった.

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