感染症学雑誌
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赤痢菌および類似大腸菌の迅速鑑別に関する研究
大村 寛造吉田 昭夫鈴木 則彦高井 慎也楠井 善久中野 康夫宮田 義人
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1992 年 66 巻 4 号 p. 456-464

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抄録

赤痢菌および赤痢菌類似の生化学的性状 (リジン脱炭酸陰性, 非運動性かつ乳糖非分解) を示す大腸菌 (赤痢菌類似大腸菌) を鑑別する目的で, Indole (tryptophanase), PGUA (β-glucuronidase), およびONPG (β-galactosidase) の3種類の性状を調べた結果, IndoleおよびONPGがともに陽性の赤痢菌株はなかった. また, IndoleおよびPGUAがともに陰性の赤痢菌類似大腸菌株はみられなかった. 赤痢菌類似の性状を示し, かつShigelal dyaenteraieまたはShigella boydiiと共通抗原をもつ大腸菌株はこの3種類の試験によって, 赤痢菌と鑑別されることがわかった. さらに, Shigella flexneri6のガス非産生株 (Boyd88型, 非定型の生物型) はPGUA活性を示すが, S. flexneri 6 (Manchester型) やガス産生性のS. boydii 13はPGUA活性を示さないことがわかった. 以上のことから, これら3種の性状を調べることにより赤痢菌と赤痢菌類似性状を示す大腸菌をより簡便迅速に鑑別できることを示した.

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© 日本感染症学会
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