1992 年 66 巻 4 号 p. 465-469
集団下痢症と思われた患者の便より分離された, Escherichia coli O114: H-(NM) 4株についてDNA解析を行い, 疫学的検討を行った. 比較対照として同じO114の血清型を有する, O114: H2 (1株), O114: H4 (2株), O114: H9 (2株), O114: H10 (1株), O114: H11 (1株), O114: H21 (1株), O114: H32 (1株) を用いた. 疫学的マーカーとして, プラスミドDNAパターンとパルスフィールド電気泳動装置を用いた染色体DNAの制限酵素NotIの切断パターンの比較検討を行った.
その結果, 集団発生と考えられた菌株は, 両法とも同一のパターンを示した. プラスミドDNAの比較では, 0114: NMと0114: H11, O114: H21とO114: H32が類似のパターンを示し, 両者の区別はできなかった. 染色体DNAの切断パターンの比較では, これらは明瞭に区別することができ, 疫学的調査に有用な指標となることが示唆された.