感染症学雑誌
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急性気管支炎患者におけるChlamydia pneumoniaeの分離培養ならびに血清学的検討
小川 浩司橋口 一弘和山 行正
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1992 年 66 巻 4 号 p. 477-483

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抄録

急性気管支炎患者の喀痰あるいは扁桃陰窩からの分離培養および血清学的検査でChlamydia pneumoniae感染を調べ次のような結果を得た. 急性気管支炎患者57症例中11例 (19%) の喀痰あるいは扁桃陰窩からC. pneumoniaeが分離培養された. その10症例で血清抗体価を測定したが, 9例 (90%) は16倍以上のIgG抗体を持っていた. この患者も含め68症例で血清学的検討をしたが, 17例 (25%) が急性期抗体を保有していた. このことから, C. pneumoniae感染は予想外に多く, しかも急性気管支炎の有力な原因菌であることが考えられる.34症例では同時に種々のウイルスやマイコプラズマに対する抗体も測ったが, C. pneumoniae抗体保有者が最も多かった.
Chlamydia trackomatisも喀痰から2例, 扁桃から4例見つかったが, 本病原体と気管支炎の関連性については今後の研究課題としたい.

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